ノイローゼ(神経症)


ノイローゼとは? ノイローゼという言葉から何を連想されますか?「育児ノイローゼ」や「受験ノイローゼ」、結構慣れ親しんだ言葉が浮かんでくるかと思います。
ノイローゼとは、ドイツ語で神経症を指します。Wikipediaによると、「感情に問題があり比較的軽度な状態を含んだ総称的な診断名である。診断名としては、含める幅が広すぎるため現在では廃止されている。」(引用:Wikipedia「ノイローゼ」) と書かれています。



神経症というのは、精神医学の伝統的な用語とされ、入院するほど重篤ではない場合が多い状態とされているようです。

ノイローゼというと、「育児ノイローゼ」「受験ノイローゼ」など、広い意味を持つイメージがありますが、本来は心の病気の総称ではなく「神経症」という1つの疾患を指します。また同じく不安症状の現れる統合失調症やうつ病などもあります。後ほど説明しますが、これは別として考えられるそうです。


この度ノイローゼ(神経症)について、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団による、「神経症を治す」というページを参考にさせていただきました。とてもわかりやすく解説されていて大変勉強になりました。どうもありがとうございます。(参考:公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団「神経症を治す」)

神経症は不安が強すぎるせいで人に会うことが出来ない。人付き合いがうまくいかないほど適応障害の状態を言います。
不安を感じたからといって神経症なわけではありません。試験前だったり次の日にプレゼンがあったりしてドキドキして眠れないといった、不安や緊張は誰にでもあるはずです。しかし神経症の人はこれが物凄く苦痛であり、それがある程度の期間以上継続して起こります。
本人は病気だという認識があるため、自分が普通に行動出来ないことは自覚しているのだそうです。例えば電車やバスに乗れなかったり、何度手を洗っても汚いと感じてしまいずっと洗い続けてしまい、家事や勉強など何も手がつかない状態となってしまいます。

外部から強いストレスを受け、その不安を克服する能力が弱かったり、その能力以上の不安が襲ってくる場合、立ち向かうことが出来ず自分をコントロールする力を失い、心や身体に障害が生じてしまいます。


先ほど記述した「統合失調症」も不安症状からなる疾患ですが、多くの人が少なからず感じる不安や恐怖の起こる神経症とは異なり、健康な人は感じることができない症状、例えば「自分は誰かに迫害されている、攻撃されている」「自分はどこからか電波で操られている」「宇宙人に連れ去られたことがある」といった幻覚や妄想によって現実と非現実がごちゃごちゃになっている状態を指します。本人はそう確信しているため、状態が悪い場合には病気であることには気がつかないそうです。こういう状態を指して、病識が無いといい、この病気の特徴でもあります。
心理学者である碓井真史(うすいまふみ)さんは「神経症(ノイローゼ)をこころの病とすれば、精神病は脳の病」と述べていました。(参考・引用:「心理学総合案内・こころの散歩道」,神経症・ノイローゼ・精神病の違い:心の病入門より)


ICD-10では、「神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害」として、大きく7つにわけられているようです。




さらにここから細かく症状が分かれていきますので、見てみましょう。

以下参考文献:
・融道男ら:ICD-10精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン-,新訂版第9刷,医学書院,2013
方安庵Facebookページの「子どもの心身に関する病気まとめ」ページ
公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団「神経症を治す」


●F40 恐怖症性不安障害
恐怖症性の不安障害とは、通常危険ではないとされる明確な対象、またはその状況によってのみ、あるいは主としてそれにより不安が誘発される状態を言います。
結果、その対象または状況は特徴的な方法により回避され、他人が問題となっている対象や状況を危険とも脅威ともみなしていないことを知っていても、その不安は軽減されないそうです。恐怖症を生じる状況になることを考えただけで通常、予期不安を生じてしまうものです。

F40.0 広場恐怖症
開放空間に対する恐怖。安全な場所(通常は家庭)へ逃げ出すことが困難であるような、空間に関連する恐怖も含まれている。バスや電車、街など、人の多い場所に恐怖を持つ。など
F40.1 社会恐怖症
人の前での発言、食事などで人からの注目を気にしすぎてストレスとなる。批判されるのではないか、恥ずかしい思いをするのではないか、という恐れがある。


●F41 その他の不安障害
F41.0 パニック障害
突然発生するパニック発作が繰り返し起こること。そのパニック発作とは、強い恐怖であり「心悸亢進、息切れ、窒息感、発汗」などといった身体症状を引き起こし、強い恐怖や不安感に襲われる状態です。
少なくとも1回の発作の後、一ヶ月後(またはそれ以上)は、「もっと発作が起こるのではないか」という心配が続いたり、「発作によりコントロールが出来なくなる、心臓発作を起こすかもしれない」という結果の心配をする、発作と関連した行動に大きな変化がある。という症状が続くものをいいます。パニック発作は、ひとりで外出ができなくなったり、場面恐怖を引き起こしてしまいます。

F41.1 全般性不安障害
「何かの病気になるかもしれない」「家族が病気になってしまうかもしれない」と色々な心配ごとが頭を駆け巡り緊張で落ち着かず、リラックス出来ない状態。さらに筋肉の緊張や、めまい、発汗、頭がふらつくなどの身体症状が起こります。これはしばしば慢性の環境的ストレスに関係するそうです。


●F42 強迫性障害
強迫観念(ある特定の考えが自分の意思に反して頭の中に浮かんでくること)と、強迫行為(それにより引き起こされる恐怖や不安などを打ち消そうと、同じ行動を繰り返すことを自分に強いること)により規定されるもの。

F42.0 強迫思考
心に何度も浮かぶ不快なイメージを打ち消すことが出来ず、せきたてられる。 過失や不潔に対する恐れ。

F42.1 強迫行為
いくら洗っても汚い気がして何度も手洗いや入浴を繰り返す。鍵をかけたことを何度も確認しないと気が済まない、など。


●F43 重度ストレスへの反応及び適応障害

F43.0 急性ストレス反応
肉親との死別や、あるいは自然災害、事故、暴行、強姦などを含む外傷体験や、その目撃が、強い身体的、精神的ストレスに反応して発現。通常は数時間、数日以内におさまる一過性の障害とされる。長期にわたって持続する場合、F43.1 心的外傷後ストレス障害(PTSD)とされる。

F43.1 心的外傷後ストレス障害
PTSDというと災害時、戦時の特殊、という感じがありますが、ストレス反応そのものであるというのがよく分かります。侵入性想起(本人の意思とは無関係にトラウマ体験が繰り返し思い出されてしまうこと)は、「出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む」と定義され、PTSDの中核症状として位置づけられているため、PTSDは記憶の障害としてとられられることが多いようです。(方安庵、続・松島レポートより)


●F44 解離性(転換性)障害
<ヒステリーを参考に。>(クリック!)


●F45 身体表現性障害
医師から症状に身体的な基盤はないと保証されているにもかかわらず、医学的な検索を繰り返し求め、身体症状を訴えるもの。

F45.0 身体化障害
器質的な病変の存在が証明されないにもかかわらず、多彩な身体症状を長期にわたり訴える疾患をいう。嘔吐や痛みなどの消化器系の感覚および、異常な皮膚感覚など。性や月経に関する訴えもよくある。

F45.2 心気障害
医学的な診察や検査では器質的身体疾患がないにもかかわらず、ちょっとした身体的不調により自分がガンや心臓病などの重篤な病気にかかる(かかっている)のではないかと恐れる。既に重篤な病気にかかってしまっているという強い思い込みにとらわれてしまう精神疾患の一つとされています。本人には強い不安感・恐怖心などの著しい苦痛をもたらし、学校・仕事・家族関係といった日常生活にさまざまな悪い影響を与えてしまうことになる。


●F48 その他の神経症性障害
F48.1 離人・現実感喪失症候群
まるで自分自身を遠くから見ているような、あるいは自分が死んだかのように感じる。自分の体に生気がなく分離されているように感じる。など情緒の喪失は最も多く見られる現象とされる。




このように、神経症(ノイローゼ)の中には更に、多くの症状のまとまりに対しての名前があります。どれも強いストレスや葛藤などで、精神的に不安定になり、精神や身体にさまざまな症状があらわれ日常生活に支障をきたすものです。
神経症で悩まれている方は、いつそういう症状が出るか、また体調が悪くなったらどうしよう、という予期不安に苦しめられているのだそうです。これは周りの方の理解がないと余計に苦しいものになってしまうのではないでしょうか。体験したことの無い方で「そんな大したことじゃないでしょ」と思う人もいるかもしれません。どんなに苦しいかは本人が一番よく分かっています。

そこで、「神経症と付き合う方法」という管理人のてつのしんさんが運営されているサイトにて「受け止め方を変えてみる方法」というのを見つけました。
こちらのサイトでは、神経症に関するコンテンツが多くとても読み応えがありましたので、ぜひみなさんも参考にされてみてください。

てつのしんさんによりますと、誤った先読みのしすぎや心の読みすぎが不安の種になってしまう方が多いそうです。どのように変えるのかというと、引用リンク先にて「「発作が起きたらどうしよう」の代わりに「今までだって発作が起きたことがあったじゃないか」「その時はタクシーで帰ってくればいいや」などと考えてみることも可能ではないでしょうか?」このように述べられています。対人恐怖症に関しても、「「誰かに嫌われても自分を好きでいてくれる人だっている」」と、自分を擁護しながら反論することによって不安などを解消していくんだそうです。(参考:神経症と付き合う方法「受け止め方を変えると、感じ方も変わるよ」
この方法は、もしかして私も考えすぎなものかも…という方にも有効な方法なのではないでしょうか? 難しいかもしれませんが、「まあ、なんとかなるからダイジョウブ。」という考え方も必要ですよね。


最後に、
 普段日常で緊張すること不安に思うことはあると思います。私も人前でうまく話すことは出来ませんし、大切なことがある前の夜はドキドキして眠れません。
ちなみにショッピングモールなどのお手洗いは一番奥に入りたくなるのですが、これも何か関係がありそうです。
私は、院長に「調べていて何か思ったことはある?」と聞かれたので素直に「分類が多すぎる」と答えました。 ものすごく多くないですか?結局はどれも強いストレスが関わっているので、原因は?となると、「ストレスのため」となるような気がします。これでは、結局解決できるのかちょっと不安に思います。私は頭がパンクしそうになってしまいました。。

このページに書かれている内容は、文献などを引用、参考にし、研究員として自分の意見も述べたものもありますので、完璧ではないことをお断りしておきます。(くるみ)


方庵のちょっとひとこと

Neuroseも Hysterieと同じく、古い精神科用語だ。けれど、味もあるよね。いまは、不安障害などを中心に細かく分類されているが、disorderというと、Orderは ドイツ語Ordnung 秩序から連想される、キチンとした、という意味がつよい。disはそれを否定するから、バランスのとれない、キチンとしない、って意味だよね。
diseaseとはちがい、「病気」よりは柔らかい表現だけど、それを障害って訳すと、壊れちゃったイメージがする。精神のバランスのが崩れて、不安になっちゃったイコール 不安障害、自我同一性のバランスのが崩れちゃったイコール解離性(同一性)障害って考えると、人間誰しもあり得るよって感じが出るかな?