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慢性腎不全を合併する高血圧の治療計画
高血圧と腎臓は相互に密接に関連し、高血圧は腎機能障害を悪化させ、腎機能障害が起こると高血圧が更に悪化するという悪循環を形成します。腎不全の発症と血圧値の間にJカーブ現象はなく、血圧が上昇すれば腎不全の発症は高率になります。
慢性腎疾患は自覚症状に乏しいことが多く、腎機能障害から末期腎不全への移行を阻止することが困難とされています。したがって腎疾患を早期に発見し治療することが重要です。

血圧が高ければ高いほど腎機能の低下速度は速く、腎不全では血圧コントロールが最も重要とされています。MDRD研究では血圧をより厳格にコントロールした方が腎機能障害の進展が遅いことが示され、メタアナリシスによりSBP130mmHg未満で末期腎不全の発症や血清クレアチニン値倍増の抑制が示されまし
た。よってJSH2000よりも低く目標値が設定され
ています。

高血圧により糸球体内圧が上昇することによる
蛋白尿は糸球体や血管障害の指標となるだけ
でなく、蛋白尿それ自体が腎機能を悪化させる
と考えられています。蛋白尿を減らすことが腎機
能障害の進展抑制効果をもたらすと報告されて
います。この効果は血圧とは独立したもので、こ
の目的のためにはARBやACE阻害薬が必要と
なります。ACE阻害薬、ARBは糖尿病、非糖尿
病に限らず腎障害進展抑制に有用です。